昨夜、音楽の生まれるところをみた。
サカナクション、USTREAMで公開レコーディング。
というニュースを聞いて喜んだわたしは失礼だったかもしれない。
彼らは100歩先を行っていた。
「Visual Music Session」
音楽からMVを生み出すのではなく、MVから音楽を生み出す。
「素敵」という言葉を煮て焼いて硬く濃く熱っぽいものにしたい。
「素敵な企画」じゃ薄っぺらい。
それくらい、企画を聞いただけで興奮しました。
メンバーと一緒に初めて、「目が明く藍色」MV監督の島田大介氏の制作した無音の「MV」を観る。
17日の企画から、島田さんの製作期間はわずか5日間。
BPM130という条件だけ与えられて、尺も決められていなかったそう。
真剣勝負だ。
可愛い外国人の女性が出てくる、モノクロ調で毒のあるスタイリッシュな映像。
すごい緊張感。
でも、そのあとのディスカッションからはまるでついていけませんでした。
当然だけど。それでも。ものすごいスピード感。
UST開始から2時間強、曲を作り始めてからは1時間半くらいかな?で4テイク。
コメントする余裕もないほど見入った。
曲について語るのはやめておこう。完成を楽しみにして。
プロの仕事を目撃したという感じ。
そして、本当の意味で「サカナクション」を知れたのかもしれない。
一郎さんが中心となって決定権を持っているのは間違いないけど、
同時に5人は対等でもあり。
全員が全員を尊敬し信頼しているのがよく見えた。
一郎さんが最後に言ったこと。
「この4人がいてサカナクションなんです。歌と言葉があってサカナクションのひとつの形もありますけど、僕が今日これをやることのひとつの目的として、こういうことができる素晴らしいメンバーが、優秀なメンバーがサカナクションにはいるということを、みなさんに知ってもらいたかったというのもありました。それを今日ちょっと示せたのではないかとおもいます。」
うん、本当に、たくさんの人に伝わったとおもう。
アルクアラウンドやアイデンティティだけを知っている人が増えて、武道館を成功させたこのタイミングでやったことにも意味がある。
この企画を聞いたときにおもったのは、
戦略も表現になると公言してきたサカナクションは、
ついに制作をも表現としてしまったのだということ。
それは現代アート。
でもあくまでもアーティストではなくミュージシャンとして。
オーディエンスもアート好きや評論家ではなく、音楽好きの普通の人。それも、5600人も。
わたしはミュージシャンじゃないからよく分からないけど、
映像から音楽を作ること、即興で音楽を作ること、
それ自体はある程度のミュージシャンならできることなんだろうな、とはおもう。
でも音源やLIVEでしか音楽に触れられないわたしたちには、その現場を観ることってすごいことなんだ。その、「業界人」と「一般人」の差をぴったり捉えてエンターテインメントにしてしまった。
一方で重要なのは、USTで公開することそれ自体が目的ではなかったこと。
これまでも色んなミュージシャンがレコーディングやリハーサルのUSTをしてきて、勿論それはそれで良かったけれど、それらとは一線を画している。
それは、Visual Music Sessionという企画の新鮮さに依るだけでなく、
リアルな制作の現場感と、コンテンツとしての完成度という、矛盾しがちなもののバランスが絶妙だったのではないかとおもいます。
最初に今日の機材の説明があったり、セッションの直前にはスタッフに「USTにトラブルがあったら演奏中でも止めてください」と伝えたりと、一郎さんは視聴者の存在、理解のしやすさを気に掛けていたし、スタッフのみなさんも、例えば映像のワイプをメンバーの顔にかぶらない場所に移動してくれたり、最大限の配慮が伝わってきた。
逆にディスカッションや演奏時は観ている側も緊張感を共有して、静かに真剣に見守っていたという感じ。
その関係性が不思議で新しかった。
新しい音楽が生まれるところと、新しい「音楽とアートとエンターテインメント」の形が生まれるところを見たんだ。
きっとサカナクションが好きだからっていうだけじゃない、2時間20分、ずっと興奮してずっと楽しくて、終わる頃には身体が熱くなっていた。
完成したものがどういう形で発表されるのか、それもまた楽しみ。
同じ取組みをまたやりたい、とも言っていたし。
サカナクションは、音楽を超えたわくわくをくれるなあ。
2010-10-15
SAKANAQUARIUM 21.1(B)-2
ひとつ前のエントリーではレポっぽくなったので、
こちらでは全体的な感想というか、ちょっと考えてみたことを。
「ライブは総合芸術」というのは一郎さんが何度か言っていて、
kikUUikiツアーのときにその通りに感じた。
オイルアートや照明の演出も、セットリストも。
ただ享楽的に踊れるだけではなく、もうひとつ上の次元で感動させる。
ただ観客が期待していることに応えて楽しませるのではなく、
観客が体験したことのない新しい音楽の喜びを提供する。
わたしはサカナクションのそんな姿勢が大好きだ。
そして、きっと今やりたいことがやれているんだろうなあと漠然と感じていた。
その、完成形にも思えたkikUUikiツアーから、武道館では更にすごいものを見せてくれた。
大きな舞台での定番の演出を使うのではなく、サカナクションらしく、一曲ごとに、もちろん全体の流れも考えてこだわっているのがわかる。
それは、身も蓋もないことを言ってしまうと予算面で出来ることが増えたということも大きいのだろうけど、
ただ豪華な演出を取って付けたのではなくて、
それくらいの規模感が等身大で合うバンドになったんだなあと感じた。
「なった」と言うと少し偉そうだけれど、確かに「kikUUiki」を経てそうなったんだとおもう。
シンシロまではイヤホンで外で聴くのにも適していたけど、このアルバムは部屋でCDで、「作品」として鑑賞するものという感じがする。
音楽知識が全くないので根拠もないのだけど。
でも実際のところ、「すごいアルバムだ」とおもうけれど再生回数は多くないのだ。
そんなアルバムだから、目が明く藍色をはじめ、ショーのような「総合芸術」の場がよく合う。
そして、サカナの曲は、すごく幅広い。…って、改めて言うのもなんですが。
リリースの関係ないワンマンは初めてになるのかな。今回は全てのアルバムから満遍なく選曲されていたのもあり、一回のライブで色んな面を見せてもらえる。
演出も自然と幅広いものになる。
そういった条件の中、武道館という会場はすごく良い相乗効果になったのではないかと。
ライブハウスだと、どうしてもステージとフロアという関係になるけれど、
武道館全体、天井まで考えられた演出になっていて、開放感と同時に一体感のある独特の雰囲気。照明を落とした演出のときとのコントラストもはっきりしていた。
武道館を武道館じゃなく感じさせられたけれど、武道館だからこそ成立した世界だったということ。
ライブハウスやフェスとは明らかに違う「サカナクションらしさ」を見せてくれたということ。
ホールとかになるとまた違うんだろうなあ。
色んな、ライブハウス以外のところで観てみたくなりました。
そして、今回の「ショー」を経て、またライブハウスに戻ったときライブがどう進化するかにも期待です。
セットリストについて。
ライブの超定番曲、フェスを含めて必ずと言っていいほど演奏されてきたナイトフィッシングイズグッドがありませんでした。
USTで語っていたところによると、これまでこの曲に頼っているところがあったけれど、次に進まなきゃいけない、フェスでも目が明く藍色をやれるようにしなければいけない、そのために作った曲なのだから、とのこと。
納得出来るけれど、そうは言っても聴きたかったというのが正直な気持ち。
一方で、二度とやらないと言った(らしい)GO TO THE FUTUREが演奏された。
“『GO TO THE FUTURE』ってタイトル通り未来へ進む曲だから、それを繰り返し歌うという行為は、未来へ進めてる事にならない気がしてて。だから二度とやらないと言ってましたけど、武道館ライブからまた未来へ進む決意の為、やらせていただきました。”(山口一郎Twitterより引用)
やらなかった曲、やった曲、その理由は同じ所にあったよう。
アイデンティティ発売時、MUSICAのインタビューで一郎さんはこう言っている。
「きっとこれが今までのサカナクションの最後の曲になると思うんです。コーラスワークとか、ギターのカッティングとか、過去に使ってきた素材を惜しみなく使ってサカナクションらしさを再定義した曲です」
「もちろん次のアルバムに対しての切り口というか、僕達の意思表示的なシングルでもあるけど、ある意味、今までの自分達への決別だと思ってて。『アイデンティティ』は『アルクアラウンド』から作ってきた僕達の雰囲気の最後の曲だと思うんですよ」
わたしはこの話を武道館公演の直前に思い出していた。
実際、次の楽曲からどれだけ変わるか、変わらないのかは想像もつかないし、この時点で一郎さん自身も見えていなかったかもしれないとおもいます。
でも、武道館をやれるだけの人気が出たというだけでなく、
この公演で一区切りとなる、大きな意味を持つライブになるのだと感じていました。
そして、まさに集大成という言葉がふさわしい、過去のアルバムからもバランスよく選ばれたセットリスト。
それにも関わらずあえて外されたナイトフィッシングイズグッドと、あえて入れられたGO TO THE FUTURE。
集大成とは言いながらも、過去を振り返るだけでなく既に一歩踏み出しているのだ。
しかし一方では、過去の定番だったAme(B)始まりが復活。
確実に前に進みながら、頑なに過去を振り切るようなことはしない。
わたしはそんな、カッコイイけどカッコつけすぎないサカナクションがすきなのです。
個人的には、一番好きなアルバム「GO TO THE FUTURE」から、
8曲中5曲演ってくれたのが、単純にうれしいだけでなくて良さが証明されて誇らしいというか(笑)、そして好きな人が増えるだろうことがうれしかったです。
またリリース関係ないワンマンやってほしいな。
次にサカナを観るのはNew Audiogramのイベントです。
フェスよりは長めの出演時間になるそうなので、どんなセットリストになるのか想像もつかなくて楽しみ。
こちらでは全体的な感想というか、ちょっと考えてみたことを。
「ライブは総合芸術」というのは一郎さんが何度か言っていて、
kikUUikiツアーのときにその通りに感じた。
オイルアートや照明の演出も、セットリストも。
ただ享楽的に踊れるだけではなく、もうひとつ上の次元で感動させる。
ただ観客が期待していることに応えて楽しませるのではなく、
観客が体験したことのない新しい音楽の喜びを提供する。
わたしはサカナクションのそんな姿勢が大好きだ。
そして、きっと今やりたいことがやれているんだろうなあと漠然と感じていた。
その、完成形にも思えたkikUUikiツアーから、武道館では更にすごいものを見せてくれた。
大きな舞台での定番の演出を使うのではなく、サカナクションらしく、一曲ごとに、もちろん全体の流れも考えてこだわっているのがわかる。
それは、身も蓋もないことを言ってしまうと予算面で出来ることが増えたということも大きいのだろうけど、
ただ豪華な演出を取って付けたのではなくて、
それくらいの規模感が等身大で合うバンドになったんだなあと感じた。
「なった」と言うと少し偉そうだけれど、確かに「kikUUiki」を経てそうなったんだとおもう。
シンシロまではイヤホンで外で聴くのにも適していたけど、このアルバムは部屋でCDで、「作品」として鑑賞するものという感じがする。
音楽知識が全くないので根拠もないのだけど。
でも実際のところ、「すごいアルバムだ」とおもうけれど再生回数は多くないのだ。
そんなアルバムだから、目が明く藍色をはじめ、ショーのような「総合芸術」の場がよく合う。
そして、サカナの曲は、すごく幅広い。…って、改めて言うのもなんですが。
リリースの関係ないワンマンは初めてになるのかな。今回は全てのアルバムから満遍なく選曲されていたのもあり、一回のライブで色んな面を見せてもらえる。
演出も自然と幅広いものになる。
そういった条件の中、武道館という会場はすごく良い相乗効果になったのではないかと。
ライブハウスだと、どうしてもステージとフロアという関係になるけれど、
武道館全体、天井まで考えられた演出になっていて、開放感と同時に一体感のある独特の雰囲気。照明を落とした演出のときとのコントラストもはっきりしていた。
武道館を武道館じゃなく感じさせられたけれど、武道館だからこそ成立した世界だったということ。
ライブハウスやフェスとは明らかに違う「サカナクションらしさ」を見せてくれたということ。
ホールとかになるとまた違うんだろうなあ。
色んな、ライブハウス以外のところで観てみたくなりました。
そして、今回の「ショー」を経て、またライブハウスに戻ったときライブがどう進化するかにも期待です。
セットリストについて。
ライブの超定番曲、フェスを含めて必ずと言っていいほど演奏されてきたナイトフィッシングイズグッドがありませんでした。
USTで語っていたところによると、これまでこの曲に頼っているところがあったけれど、次に進まなきゃいけない、フェスでも目が明く藍色をやれるようにしなければいけない、そのために作った曲なのだから、とのこと。
納得出来るけれど、そうは言っても聴きたかったというのが正直な気持ち。
一方で、二度とやらないと言った(らしい)GO TO THE FUTUREが演奏された。
“『GO TO THE FUTURE』ってタイトル通り未来へ進む曲だから、それを繰り返し歌うという行為は、未来へ進めてる事にならない気がしてて。だから二度とやらないと言ってましたけど、武道館ライブからまた未来へ進む決意の為、やらせていただきました。”(山口一郎Twitterより引用)
やらなかった曲、やった曲、その理由は同じ所にあったよう。
アイデンティティ発売時、MUSICAのインタビューで一郎さんはこう言っている。
「きっとこれが今までのサカナクションの最後の曲になると思うんです。コーラスワークとか、ギターのカッティングとか、過去に使ってきた素材を惜しみなく使ってサカナクションらしさを再定義した曲です」
「もちろん次のアルバムに対しての切り口というか、僕達の意思表示的なシングルでもあるけど、ある意味、今までの自分達への決別だと思ってて。『アイデンティティ』は『アルクアラウンド』から作ってきた僕達の雰囲気の最後の曲だと思うんですよ」
わたしはこの話を武道館公演の直前に思い出していた。
実際、次の楽曲からどれだけ変わるか、変わらないのかは想像もつかないし、この時点で一郎さん自身も見えていなかったかもしれないとおもいます。
でも、武道館をやれるだけの人気が出たというだけでなく、
この公演で一区切りとなる、大きな意味を持つライブになるのだと感じていました。
そして、まさに集大成という言葉がふさわしい、過去のアルバムからもバランスよく選ばれたセットリスト。
それにも関わらずあえて外されたナイトフィッシングイズグッドと、あえて入れられたGO TO THE FUTURE。
集大成とは言いながらも、過去を振り返るだけでなく既に一歩踏み出しているのだ。
しかし一方では、過去の定番だったAme(B)始まりが復活。
確実に前に進みながら、頑なに過去を振り切るようなことはしない。
わたしはそんな、カッコイイけどカッコつけすぎないサカナクションがすきなのです。
個人的には、一番好きなアルバム「GO TO THE FUTURE」から、
8曲中5曲演ってくれたのが、単純にうれしいだけでなくて良さが証明されて誇らしいというか(笑)、そして好きな人が増えるだろうことがうれしかったです。
またリリース関係ないワンマンやってほしいな。
次にサカナを観るのはNew Audiogramのイベントです。
フェスよりは長めの出演時間になるそうなので、どんなセットリストになるのか想像もつかなくて楽しみ。
2010-10-13
SAKANAQUARIUM 21.1(B)-1
10/8(金) サカナクション初の武道館公演へ行ってまいりました。
5/28のZeppTokyoで発表されてから、約4ヶ月間、ずっと楽しみにしていた武道館。
武道館へ行ったのは3回目だけど、アリーナは初めて。しかもA5・・・!
スキップし出す勢いで階段を降りて、席へ向かうと、想像以上の近さ。
始まる前からテンションは最高潮へ。
スクリーンには、水槽のような映像に、コポコポという音。
そう、今日の武道館はSAKANAQUARIUMなのだ。
開演時間の19時を過ぎると、時計のカチコチいう音が重なり、緊張感が増していきます。
そして照明が落とされいよいよ開演。
オープニングの映像、水の輪廻。水槽の水が流れ、空へ行き、雲になり、雨になる・・・その流れが本当に美しくて、思い出してもうっとりしてため息が出る。
白黒で円の模様が描かれたステージの俯瞰の映像でメンバー登場。
そこから始まるのは勿論、Ame(B)。
名盤「シンシロ」の1曲目なのは勿論ですが、
わたしが初めてサカナクションのLIVEを観てハマるきっかけとなったCDJ0910の1曲目。
そして大好きな音源FISHALIVEの1曲目。
kikUUiki以降の21.1始まりも「ロックのフォーマットを壊す」ことを体現しながらオーディエンスを惹きつけていて素晴らしかったけれど、やっぱりどうしてもAme(B)始まりがすきでした。
だから本当にうれしかった。でも同じことをやるのではなく、SEのmixは新しかったです。
セットリストについては後でまた触れようかな。
とにかく、1曲目から会場を盛り上げるには最高の曲。
ここから5曲目Kleeまでノンストップ。
こんなに飛ばして大丈夫?なんて思いましたが、サカナクションはLIVE鉄板曲がありすぎるんだなと12曲目ネイティブダンサー以降の流れで再確認。
夢中で飛び跳ねていたけれど、ライトダンスでの草刈姉さんのベースソロがかっこよくて忘れられません。やっぱり華があるなあ。
そして短いMCを挟んでフクロウ、意外な選曲ににやり。
これでもかというほどの緩急の付け方(笑)。グッと引き込まれます。
ここから聴かせる系の曲が続きます。
アンダーの時の映像が印象的でした。一郎さんの歌う映像(もちろんリアルタイム)にエフェクトがかかっていて、クラゲの映像が重なって。深海で独りで歌っているような。
そして、個人的ハイライトのひとつ。シーラカンスと僕のアウトロ延々リピートからマレーシア32へ。
レーザーがこれでもかと飛び交い、武道館は一瞬でクラブに。
マレーシアがあんなにもカッコイイ曲だったとは・・・。
そこからParadise of Sunnyへ繋がるのが流石。
インストを2曲連続なんて、サカナにしかできない。いや、サカナにとっても挑戦だったのでは?
とにかく驚いて、にやけました。
(21.1は短かったんじゃないかな、ちょっとわからないけど、セトリの表記のように3曲のメドレーというより2曲やったという印象でした)
一郎さんは、カオスパッド等の機材を操作していましたが、kikUUikiツアーの時のように観客を煽るのではなく、ほとんどずっと後ろを向いていたのが印象的。
後でUSTで仰っていたことには、オイルアートを見ながらそれに合わせてエフェクトをかけていたそう。
なんて言えばいいんだろう・・・確かに、「盛り上がった」わけでもないかもしれない、
でも、あの瞬間武道館は武道館じゃなくなっていて、観客は全身で音楽を、「総合芸術」を感じていました。
そして、「まだ誰も聴いたことのない曲をやります」と、文字通りできたてほやほや、タイトルも決まっていない、歌詞もメンバーさえ当日初めて聴いたという、新曲。
Aメロ、Bメロは、シングルにしてはかなり暗いと感じました。
でも、踊れるアレンジ。まさに心地の良い違和感。
サビも、暗い一方でいつも以上にキャッチーな印象。全体的にとても好みでした。
ネイティブダンサー~アイデンティティまでの盛り上がりはすごかった。
ネイティブダンサーは緑レーザーが定番ですが、進化。
普通のレーザーはマレーシアに比べて控えめで、
中央のスクリーンに不思議な形のレーザーがうねうね動く。
サビになると、それが傑作MVのダンスの映像に重なる。
そして更に、歌詞に合わせて雪のようにレーザーが降る。すごい・・・。
そして、難しくてなかなか揃わない手拍子。
今日はしっかりと揃っていたどころか、「手拍子完璧なの聞いて!」と言わんばかりの一拍目から大きな音に、感激しました。全国からファンが集まっていることを実感した瞬間。
アイデンティティで会場の熱気は最高潮に達したところで、本編最後の曲はenough。
シンシロツアーはよく知らないので、LIVEでやるとかっこいいだろうけど難しいだろうなあとおもっていた曲・・・。
照明は落とされ、一郎さんの傍らにはベッドサイドに置くサイズの電気スタンド。
アイデンティティまでで会場を一体にさせておいて、ここで個の世界へ。
一郎さんの歌声、気持ちよく伸びてたなあ。
そして電気を消して、舞台袖へ。
この時の雰囲気は、バンドのLIVEのそれとは明らかに違ったようにおもう。
劇、ショー、ミュージカル・・・
序盤、終盤、あれだけ盛り上げておいて、あまりにも綺麗に幕を引いて去っていった。
アンコールでは、今から始めるかのように「どうもー!サカナクションでーす!」とテンション高く登場した一郎さん(笑)。
三日月サンセットで歌詞が飛んだ照れ隠しだとおもうけど、同時に素直にワンマンライブのホーム感を楽しんでいる感じがうれしかったです。
いつもはもう少し、MCも煽るときも真面目な印象だから・・・(笑)。
それから軽くメンバー紹介。結成して4年かあ・・・なんて濃密。
4年前のLIVEでは、200人ほどのキャパの会場に100人程度。今日は11000人。100倍。
観客の声が聞き取れず、スルーしかけて「・・・え?」と聞き返す一郎さん、完全にコントでした(笑)。
「二度とやらないと言っていた曲をやります」と演奏されたのはGO TO THE FUTURE。
ガツンときました。
この曲、表題曲ではあるものの、他に比べて地味なので個人的に存在感が薄かったのです。
でも、生演奏、素晴らしかった。身体の芯まで、ずっしりと重い音が入ってきました。
LIVE前と後で、一番印象が変わった曲。
そして、白波トップウォーター。一番すきな曲なので、武道館でどうしても演ってほしかった一曲。
この曲の中でも、2番のサビ前の間奏が大好きなのですが、そこで一郎さんが右手を挙げて、みんなも手を挙げてピースしてて。
それが青い逆光で照らされていたのが綺麗で幸せで泣きそうでした。
この瞬間を思い出せば大抵のことは乗り越えられる気がするよ。
ダブルアンコールは目が明く藍色。
この曲を、ラジオの前に座って初めて聴いたときの驚きはきっと忘れない。
今日のショーの最後を締めくくるに相応しい壮大な曲。
Zeppで聴いたときはなんだか戸惑ったの。
ナイトフィッシングイズグッドと違ってノリにくいなって。
でも、武道館のサイズにぴったりでした。変な言い方になるけど、武道館に似合っていました。
武道館は、よくある「売れてきたから挑戦する場所」ではなく、今のサカナクションにとってきちんと相応しい場所なのだと、確信した瞬間でした。
5人手を繋いでお辞儀をして、手を振って袖にはけて、いよいよ終わりの時間。
でも、壮大なショーは終わりもしっかりと。
ホーリーダンスのインストリミックスをBGMに、スタッフロール!
個人的には、何度も行っているMEGさんのLIVEで見ているのですが、おそらくよくある演出ではないはず。でも大好きな二組がやっているということは、何か意味があって、とてもうれしいこと。
誰も帰らず、手拍子をしてTEAM SAKANACTIONのメンバーの名前が流れるのを見ていた。
照明や映像にこだわるだけでなく、それをやる人たちの存在までしっかりと見せる。
そしてその想いが確かに観客に届いている。
なんてしあわせな空間なんだろうとおもいました。
そして最後、「AND……Many Thanks to ALL AUDIENCE!!!!」と文字が出て、オープニングでも流れたステージの俯瞰の映像に移り、それがゆっくりと客席側を向く。
観客が歓喜の声を上げるも、映し出されたのは誰もいない武道館で、すこしがっかり。
オープニングではリアルタイムの映像だったのに、今度は録画か、と。
すると、中央の席にはサカナクションのメンバー5人が笑っている。
再びの歓喜の声、そして賞賛の拍手。
次の瞬間パッと映像が切り替わり、同じアングルから満員の武道館の笑顔へ。
ずるいです(笑)。こんなハッピーエンドがありますか。いつも夜と孤独を歌ってきたのに(笑)。
11000人が一人残らず貴方たち・・・チームサカナクションの虜になったことは間違いありません。
【SET LIST】
01. Ame(B)
02. ライトダンス
03. セントレイ
04. アドベンチャー
05. Klee
06. フクロウ
07. 涙ディライト
08. アンダー
09. シーラカンスと僕
10. マレーシア32 ~ 21.1~Paradise of Sunny
11. 新曲
12. ネイティブダンサー
13. インナーワールド
14. サンプル
15. 三日月サンセット
16. アルクアラウンド
17. アイデンティティ
18. enough
<アンコール>
19. GO TO THE FUTURE
20. 白波トップウォーター
<ダブルアンコール>
21. 目が明く藍色
(エンドロール:ホーリーダンス Instrumental Remix)
長くなってしまった。全体の感想はまた改めて…
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